性感染症

性感染症とは

性行為を介して感染する病気です。性器や肛門・泌尿器・口腔などにウイルスや細菌・原虫などが接触することで感染します。特に注意が必要なのは、淋病・クラミジア・カンジダ膣炎・性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・トリコモナス膣炎・梅毒・エイズ(HIV)などの感染症です。オーラルセックスやアナルセックスのほか、キスだけでも感染してしまう場合があります。
ご自身が感染した場合、パートナーの方も一緒に治療を行い、完治させなければ再発する恐れがあります。性感染症を疑われる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

性感染症の検査費用

性感染症チェック

・クラミジア
・淋菌
・B型肝炎
・C型肝炎
・梅毒
・HIV

12,000円

主な性感染症

クラミジア感染症

潜伏期間3日~1週間です。膣からの感染のほか、咽頭の感染もあります。セックスだけではなくオーラルセックスで感染します。

症状

粘度の強いおりもの・おりものの量が増加する・下腹部痛・右上腹部通・不正出血などが現れますが、自覚症状がないまま病状が進行することもあります。咽頭に感染した場合は、のどが炎症して痛みや腫れ、咳、発熱などの症状が現れます。

リスク

卵管炎・骨盤内感染症などによって将来の不妊・子宮外妊娠につながります。また、感染したまま妊娠すると、分娩時に産道を通じて赤ちゃんが感染し、肺炎や結膜炎を発症する恐れがあるため注意が必要です。

検査と治療

血液検査もしくは、抗原検査にて膣や子宮粘膜内のクラミジアを確認します。治療は抗生剤を用いて治療を行います。淋菌と重複感染がありますので同時に淋菌の検査も行うことが望ましいです。

淋病

淋菌による性感染症です。潜伏期間2~7日間です。喉への感染が認められるケースが増えていることから、セックスだけではなくオーラルセックス・キスでも感染するとされています。

症状

男性の場合、強烈な痛みが現れるので感染が分かりやすい一方、女性の場合は自覚症状がほとんどありません。感染に気付かないことが多く、知らない間に症状が進行していることが多いのが特徴です。女性に見られる症状は、外陰部の腫れや痒み・黄色いおりものなどです。喉が感染した場合は喉が炎症して痛みや腫れ、咳、発熱などの症状が現れます。

リスク

女性の場合は、自覚症状がないまま病状が進行し、慢性化することで子宮内膜炎・卵管炎・淋菌性膣炎などを引き起こす恐れがあります。将来の不妊や子宮外妊娠のリスクが上がるため、無症状の場合でも治療を徹底して受けてください。

検査と治療

おりものを採取します。淋菌の有無を確認し、感染が判明したら抗生剤点滴によって治療を行います。自己判断で治療を中断してしまうと完治が難しくなる場合があるため、医師の指示に従って服薬治療を継続して行ってください。クラミジアとの重複感染がありますので同時にクラミジアの検査も行うことが望ましいです。

性器ヘルペス

性交渉による感染の他、汚染されたタオルなどを介して感染する場合もあります。女性が感染した場合、初感染後の症状が強く出やすい特徴があり、治ってもウイルスが潜伏したまま症状を繰り返す場合があります。再発時の症状は軽いとされています。若い年代の感染が増加傾向にあります。

症状

初感染から数日~10日後に発症します。発熱・倦怠感・皮膚の違和感・外陰部や膣に水疱ができる・強い痛み・排尿痛・鼠径部の腫れなどの症状があります。重篤な場合は、歩行が困難になることがあり、水疱が破れると潰瘍となります。

検査と治療

血液検査・抗原検査で感染の有無を確認するほか、水疱や潰瘍を確認するだけで判断できることもあります。治療は、抗ウイルス剤を用いて治療を行います。再発を繰り返す場合は、抗ウイルス剤による治療を長期にわたって継続していく必要があります。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスが原因の性感染症です。潜伏期間3週間~8か月とかなり長いのが特徴です。治療によって症状が改善しても再発する可能性があるため、継続した地道な治療を行います。

症状

外陰部や肛門周辺にイボ状のできものができます。病状が進行すると、小さいイボが集まり、カリフラワーのように大きくなってしまいます。そのほか、火照りや痒み・性交痛を引き起こします。

検査と治療

イボの組織を採取します。顕微鏡で確認し、診断を行います。イボが小さい場合は軟膏による治療や凍結療法を行います。イボが大きい場合はレーザー治療や電気メスによって切除治療を行います。

カンジダ膣炎

カビ(真菌)であるカンジダ・アルビカンスが原因の性感染症です。カンジダは常在菌のため、通常膣内で繁殖しませんが、免疫力・抵抗力が低下している時に発症しやすいとされています。また、洗浄し過ぎによって善玉菌がなくなると感染しやすくなります。糖尿病の方や妊婦、抗生剤を服用している方は発症リスクが高いとされています。

症状

痒みが生じて、白っぽい酒粕のようなおりものが増加します。おりものが外陰部に付着してただれます。病状が進行し、慢性化するとおりものが減少しますが痛みや痒みが残ってしまいます。

検査と治療

おりものを採取します。培養検査を行い、診断していきます。真菌が原因のため抗生剤は効果が見られません。治療は、抗真菌薬を用いて治療を行います。治療で症状が改善したあとも真菌がなくなるまで中断せずに治療することが大切です。

トリコモナス膣炎

トリコモナス原虫が原因で発症します。トリコモナス原虫が膣内に侵入し、感染します。感染することで膣内の自浄機能が低下するため、ほかの感染症を引き起こしやすいのが特徴です。発症したら早期の治療が必要です。

症状

黄色や緑色のおりものが増加し、外陰部に痒みが現れます。泡立ったおりものが見られる場合があり、臭いが強いのが特徴です。

リスク

病状が進行すると、外陰炎や尿道炎を招き、排尿痛などの痛みや苦痛が生じます。男性は自覚症状が現れにくいため感染に気が付かず、パートナーに感染させてしまうケースが多いとされています。

検査と治療

おりもの・尿を採取します。顕微鏡検査によって原虫を確認していきます。膣錠や内服薬治療によって尿路に侵入した原虫を駆除します。治療期間は2週間ほどかかりますが、継続して治療を行っていきます。

梅毒

セックスやキスによる感染の他、皮膚や粘膜に傷や輸血などを介して感染する可能性があります。近年、梅毒の発症者数が増加傾向にあるので注意が必要です。感染者が妊娠していると、胎盤を通じて胎児が感染してしまい、重篤な障害を招く恐れがあります。

症状

大きく4期に分けられ、その時期によって症状が変わっていきます。

第1期

潜伏期間10~90日と長期間です。その後症状が現れます。初期硬結が発生し、それが潰瘍となります。痛みはなく、潰瘍は数週間で消えますがその痕が残ります。

第2期

感染してから3カ月以上経過すると、赤い梅毒特有の湿疹が全身に現れます。髪の毛がまだらに抜ける梅毒性脱毛を引き起こし、だいたいの方がこの段階で発見します。

第3期

感染してから2~3年経過すると、筋肉や骨・内臓にゴム腫という結節ができます。次第に増大していきます。

第4期

感染してから10年後には、中枢神経系と心臓血管系が侵されていきます。これにより、大動脈瘤・大動脈中膜炎・進行麻痺・痴呆症状が現れます。次第に記憶障害・妄想・思考力の低下・全身麻痺を起こし、そのまま放置してしまうと死に至ります。

検査と治療

血液検査で検査を行います。感染して6~8週間していないと正確に診断できず、そのため再検査が必要になる場合があります。治療方法は、抗生剤を用いて治療します。

エイズ(HIV)

性感染症のHIVは、ヒト免疫不全ウイルスがヒトの免疫細胞に感染して後天性免疫不全症候群を発症させてしまいます。これがエイズです。HIVに感染するとほかの感染症を発症しやすくなることから、HIVに感染している状態で指定されている代表的な23の疾患のいずれかにかかった場合はエイズと診断されます。

感染経路

性行為など性的な接触による感染・血液感染・母子感染が挙げられます。母子感染は分娩時だけではなく授乳でも感染するとされています。また、注射器の使いまわしによって血液感染するケースも指摘されています。

症状

HIV感染2週間ほどの潜伏期間があり、その後発熱・筋肉痛・倦怠感・リンパ節の痛みや腫れ・湿疹などが現れます。無症状の場合もあります。数週間でこれらの症状が治まり無症状期となります。

無症状期

初期症状が数週間で治まってから数年~10年ほど無症状の期間が続きます。この間、HIVは増殖していますが免疫機能によって症状を抑えられているため無症状となります。

発症期

指定されている23の疾患のうち、1つでも発症した時点でエイズと診断されます。

検査と治療

HIV抗体スクリーニング検査を実施します。感染してから3カ月以上経過すると、正確な検査結果を得られますが、感染して間もない場合は正確な診断ができず再検査となってしまうことがあります。HIV抗体スクリーニング検査と、さらに確認検査のいずれも陽性の場合にHIV感染が確定します。完治はできませんが、エイズ発症を長期にわたって抑制する治療が可能です。医師の指示に従って、抗HIV薬を正しく継続して服用しましょう。エイズが発症しても、死に直結するわけではないため、適切な治療を継続して行い、苦痛のない状態を長く保っていきます。

性感染症を予防するために

性交時でのコンドームを正しく着用することで、感染リスクを大幅に軽減できます。コンドーム装着によって体液や粘膜の接触を防ぐため、性感染症の予防には必需品となります。また、不特定多数との性行為、性交相手に多数のパートナーがいる場合は、性行為を行わないことが重要です。感染に気付いていない場合は、双方気付かないうちに移す可能性があるので注意が必要です。リスクの低い相手の場合でも、衛生面に気を付けることが大切です。さらに、屋外での性行為・生理中の性行為も感染リスクが高くなります。性感染症は誰もがかかる病気とし、症状がない場合でも気になる場合は速やかに医療機関を受診してください。早期の適切な治療で比較的楽に治療を行うことができます。この場合、パートナーも同時に治療をスタートすることが重要です。しっかり治して、再発防止・再感染防止を徹底していきます。

TOPへ